売油翁(書き下し文・現代語訳・解説動画)

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古文現代語訳テスト対策テスト対策

漢文の「売油翁」です。
翁が言った内容をきちんと抑えておきましょう。

書き下し文

陳康粛公尭咨は、射を善くし、当世無双なり。公も亦此れを以つて自ら矜る。
嘗て家圃に射る。売油翁有り、担を釈きて立ち、之を睨ること久しくして去らず。其の矢を発し十に八・九を中つるを見て、但だ微しく之に頷くのみ。
康粛問ひて曰はく、「汝も亦射を知るか。吾が射は亦精ならずや。」と。翁曰はく、「他無し。但だ手の熟せるのみ。」と。
康粛忿然として曰はく、「爾安くんぞ敢へて吾が射を軽んずるや。」と。翁曰はく、「我が油を酌むを以つて之を知る。」と。
乃ち一葫蘆を取りて、地に置き、銭を以つて其の口を覆ひ、徐ろに杓を以つて油を酌み之を瀝らす。
銭孔より入り、而も銭は湿はず。因りて曰はく、「我も亦他無し。惟だ手の熟せるのみ。」と。康粛笑ひて之を遣る。
此れ荘生の所謂牛を解き輪を斲る者と何ぞ異ならんや。

現代語訳

陳康粛は弓の名手であった。世に並ぶ者がいなかった。
自分でも同様にそのことを自慢に思っていた。以前、家の庭で弓の練習をしていたときのことだ。
(通りかかった)油売りの老人が、かついでいた荷物を降ろして立ち止まり、しばらくその練習ぶりを横目でちらちらと眺めて立ち去らなかった。
陳が矢を放って10本に8、9本が命中するのを見ると、ただわずかに(したり顔に)うなずくだけであった。康粛が尋ねて言うには、「お前も弓をたしなむのか。私の弓はなかなかのものだろう。」
老人が言うには、「いやあ、ほかでもない。ただ、熟練しているだけのことです。」康粛は、むっとして言うには、「お前はどうして私の弓の腕前を軽んじるのか。」老人が言うには、「私の油を酌む腕と比較してそのようにわかるのです。」
そう言うと、ひょうたんを取り出して地面に置き、銅銭でその口をふさいだ。ゆっくりとひしゃくで油を酌んで注いだ。(油は)銅銭のあなを通って(ひょうたんに)入っていったが、銅銭が濡れることはなかった。
そして言うには、「私もあなた同様にほかでもありません。ただ単に熟練しているだけです。」
康粛は笑って老人を立ち去らせた。

解説動画

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