大江山(文学史・本文・現代語訳・解説動画)

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今回は『古今著聞集』の「大江山」を解説していきたいと思います。

文学史

作者

橘成季

成立

鎌倉時代中期

ジャンル

説話

内容

貴族社会への懐古の念が見られ、平安時代の貴族説話が多い。
また、『十訓抄』と同じ話が約80ある。

本文

和泉式部、保昌が妻にて、丹後に下りけるほどに、京に歌合ありけるに、

小式部内侍、歌詠みにとられて詠みけるを、定頼中納言、戯れに小式部内侍に、

「丹後へ遣はしける人は参りにたりや。」

と言ひ入れて、局の前を通られけるを、小式部内侍、御簾より半ば出でて、直衣の袖をひかへて、

大江山いくのの道の遠ければまだふみもみず天の橋立

と詠みかけけり。

思はずにあさましくて、「こはいかに。」とばかり言ひて、返しにも及ばず、袖を引き放ちて逃げられにけり。

小式部、これより歌詠みの世覚え出で来にけり。

現代語訳

和泉式部が、保昌の妻として、(夫の赴任地である》丹後国に下った頃に、京で歌合わせがあった時、

小式部内侍が、歌合わせの読み手に選ばれて和歌を詠んだところ、定頼中納言がふざけて小式部内侍に、

「(あなたが)丹後へ使いに行かせなさった人は(京に戻って)参りましたか」

と言い入れて、部屋の前を通りなさったので、

小式部内侍は、御簾の中から体を半分ほど出して、(定頼中納言の)直衣の袖を引きとどめて、

大江山を越えて行く生野の道は遠いので、私はまだ天の橋立に踏み入ったこともないし、そこにいる母からの手紙もまだ見ていません

と、和歌を詠んで返歌を求めた。

(定頼中納言は)思いがけないことに驚いて、「これはどうしたことか」とだけ言って、
返歌を詠むことも出来ず、(つかまれていた)袖を引っ張って離してお逃げになった。

小式部内侍は、このことがあってから歌人としての世間の評判が出てきた。

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